奈良国立博物館の正倉院展

 読売新聞のお客様サービスで、毎月色んなイベントの入場券が当たる催し物がある。 今までも上野博物館だとか、六本木国立新美術館の入場券等利用させてもらっているが、今回は奈良国立博物館の正倉院展の入場券と云うのがあった。 期間が10月29日から11月14日と限られており、その為にわざわざ奈良まで行く人はいないだろうと思ったが、そう云えば暫く京都・奈良にも行っていないなーと思い当り、インターネットでその時期のイベントを調べてみたら京都では御所の一般公開を10月31日から11月6日迄やっている事が判明。 マー死ぬまでに一度位は御所を見るのも良いだろうと思い、家内と二人で出かける事にした。 京都も奈良も修学旅行シーズンで、何処も彼処も小学生・中学生で混雑していたが、流石に正倉院展と京都御所は我々の様な現役引退組が中心で、混んではいるが騒々しさはない。

 

 今年の正倉院展の目玉は、昨年東大寺の金銀荘太刀のX線調査で「陰剣」「陽剣」の銘文が発見され、国家珍宝帳(正倉院の宝物献納目録)から除物され長年行方不明とされていた「陰宝剣」と「陽宝剣」であると比定され話題になった事から、この除物を示す「出蔵帳」と合わせ、剣にちなんでと思われるが、聖武天皇の愛刀と云われる金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんそうからたち)が出展された。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金銀鈿荘唐太刀 (写真:文化庁月報10月号より)

 

 この展示物だけは別途見物者の列を作らせる程人気もあり、特段の趣味も知見もない私が見ても素晴らしい出来だと思うし、大仏殿を作らせた権力者の凄さを感じさせるものであった。 正倉院展の出陳は10年は同じ物を出さないという事らしいから、この名刀も次にみられるのは10年後かもしれない。

 

文責:足立俊夫・tnc会員 (2011.11.4)