「これからの働き方」とは

この夏、市内の中高生を対象にしたセミナーの講師を依頼された。

「これからの働き方」がテーマで、テレビにも出ている有名人を講師に迎えその成功体験を語ってもらうのがこのセミナーのメインになるようだ。

私は若い人たちに成功を語るほど(決して失敗したわけではないので誤解なきよう)でもないので、そちらはご勘弁頂き、少子高齢化社会で今後働き方がどう変わっていくかをテーマにすることにした。

 

そもそも高齢化は先進国共通の問題であり、「長生き」できる環境が整った(健康かどうかは別にして)と考えるのが妥当だろう。

それよりも問題なのは、少子化が急速に進展することであり、市場が縮小均衡に向かうことではないだろうか?

このところ、定年延長や正社員解雇の難しさなどが若年層の雇用を脅かしているとの議論もあり、将来日本も失業率の高止まりに悩まされるかもしれない。

 

現状のまま、少子化で市場が縮小すると、将来設計が立てられる層とそうでない層(正社員・非正社員)の労・労格差がますます広がるのは間違いないところである。

労働問題の専門家ではないので私見であることを断っておくが、少子高齢化社会を迎え、「同一労働同一賃金」へ思い切った舵をきる必要があるのではないかと思う。

 

「同一労働同一賃金」ここ最近耳にした人も多いかもしれないが、その理念は国際労働機関(ILO)によって半世紀以上前から差別待遇の禁止として提起され続けている。

日本では、終身雇用・年功賃金の名のもと転勤、配置転換、出向、残業など正社員に課される包括的な労働契約が同一労働同一賃金を反故にする根拠になったと考えて差し支えないだろう。(特に女性には転勤や残業が障壁となる状況を生んだ)

 

経済成長が著しい時代には、合理的だったこの雇用形態はもはや、時代に沿わないものになっている。経営者とて、リスクを冒してまで正社員に拘るより、雇用調整が容易な非正社員で賄いたいと考えるのは至極当然といえる。

 

これからはいわゆる就社ではなく、仕事の質・量で賃金水準が決まる同一労働同一賃金と解雇規制の緩和をベースにして労・労格差を是正し、多様な働き方や雇用の流動化を促進することが肝要ではないだろうか。

 

文責:中村文彦 tnc会員 (2013.6.18)