銀行の「失われた15年」

・銀行の「失われた15年は」金融検査マニュアル(1999年)ができてから15年という時間で銀行の失ったものは極めて大きいものがある。

 金融機関の中小企業向け貸出残高が1998年の317兆円から2013年には223兆円と94兆円減少した。

・金融検査マニュアルは預金者保護と言いながら、実際は抜本的な不良債権を断行するためにつくられた。

 銀行の企業への融資判断を同一視し(一度でも業況が悪くなれば、借入不可)、マニュアルに徹底的に対応し、不良債権を生み出さないための銀行経営に

 シフトした結果が貸出残高減少の原因と考えられる。

・銀行では経常運転資金として一般的に行われていた「短コロ」が検査マニュアルの資産査定で厳しくなったことで、信用保証付きの長期融資にシフトされた。

 これがため長期貸出残高が短期貸出残高を上回ることとなった。

 長期資金にシフトしたことで設備投資意欲の減退や元金返済、保証料の支払等で資金繰りを圧迫した。

・金融庁は2016年10月「金融行政方針」を発表した。不良債権の処理を重要視してきたこれまでの姿勢を転換し、銀行に企業の将来性をみて貸出を増やすよう促す考えを明確にした。

 銀行に対する検査・監督を見直され銀行が自身のリスクで融資しやすい金融マニュアルの改訂が望まれる。